当ラボでは、身体の痛みや機能障害を、単に症状のある部位だけの問題として捉えるのではなく、直立二足歩行という人間本来の運動機能と、身体全体の構造から考えています。
施術の目的は、一時的に痛みを軽減することではなく、身体の構造と運動機能を本来の状態に近づけることにあります。
このページでは、日々の臨床で得られた知見や症例をもとに、身体構造と歩行機能の関係、施術における考え方、治療家向けの技術・理論について紹介していきます。
なぜ歩行機能に着目するのか?
人間の身体は、直立二足歩行を行う構造として成り立っています。
私は約20年間の臨床経験を通して、痛みや機能障害を局所だけの問題として捉えるのではなく、身体全体の構造と歩行機能の関係から考えてきました。
例えば、膝に痛みがあるからといって、必ずしも膝だけに原因があるとは限りません。
骨盤の位置、脊柱の状態、左右の荷重バランス、そして歩行機能を総合的に評価することで、局所への対処とは異なる施術の方向性が見えてくることがあります。
痛みのある場所だけを見るのではなく、なぜその場所に負担が集中したのかを考える。
これが私の臨床における基本的な考え方です。
身体構造をどのように評価するのか?
身体の状態を評価する際、私が最初に重視するのは、痛みのある部位ではなく、身体全体の構造と荷重の状態です。
具体的には、次のような項目を確認します。
- 左右の荷重バランス
どちらの下肢に荷重が集中しているのか、非荷重側にはどのような特徴があるのかを確認します。 - 骨盤と脊柱の位置関係
寛骨の前方・後方回旋、腰椎のねじれ、脊柱全体の状態を評価します。 - 歩行機能の評価
立位だけでなく、歩行時の身体の使い方や左右の機能差を確認します。 - スクリーニングによる機能評価
身体各部の反応を確認し、どの構造に問題が生じている可能性があるのかを推察します。
これらの評価を組み合わせ、身体に生じている現象を力学的に捉え、施術の方向性を決定していきます。
重要なのは、症状という結果だけを見るのではなく、その結果を生み出している身体の状態を読み解くことです。
施術は何を変えようとしているのか?
私の施術は、痛みのある場所に対して処置を行うことだけを目的としていません。
構造医学の考え方を基礎として、身体の構造的な問題を評価し、直立二足歩行に適した状態へ近づけることを目指しています。
そのために重視しているのが、次の3つです。
1.身体構造の整復
骨盤や脊柱などの位置関係を評価し、必要な整復を行います。局所の症状だけでなく、身体全体にかかる力の関係を考慮します。
2.歩行機能の回復
整復だけで身体の機能が十分に回復するとは考えていません。人間本来の運動である直立二足歩行を、日常生活の中で適切に行うことを重視しています。
3.体操による機能の維持
患者さん自身が行う体操も重要です。単なる筋力トレーニングではなく、歩行に必要な身体の条件を整えることを目的としています。
このように、整復・歩行・体操を組み合わせ、身体が本来持つ運動機能を発揮しやすい状態を目指します。
施術によって形を整え、歩行によって機能を取り戻す。
これが、私の施術方針の中心となる考え方です。
臨床症例から考える身体構造と歩行機能
症例1|胸郭出口症候群(73歳女性)
初診時の状態
73歳女性。胸郭出口症候群と診断され、医療機関で肋骨切除術を勧められていました。
身体評価と施術
局所の神経や血管の圧迫だけに着目するのではなく、身体全体の構造と歩行機能の関係から評価しました。
施術では、B2レバーアームを用いた処置と腰部の整復を実施しました。
歩行指導
施術と並行して、直立二足歩行機能の回復を目的とした歩行指導を行いました。
患者さんは自らスポーツジムに入会し、毎日継続して歩くようになりました。
施術経過
約10回の施術で症状が消失しました。
この症例は、局所の症状に対して身体全体の構造と歩行機能からアプローチした、私の臨床経験の一例です。
※これは個別の症例経過であり、同様の結果をすべての患者さんに保証するものではありません。
症例2|脊柱管狭窄症(75歳男性)
初診時の状態
75歳男性。脊柱管狭窄症と診断され、約30m歩くと下肢に痛みが生じ、歩行を続けることが困難な状態でした。
医療機関では棘突起の除去手術が予定されていました。また、MRIでは第4腰椎の圧迫骨折も確認されていました。
身体評価
構造医学に基づくスクリーニングでは、左右ともに強いPI反応が認められ、腰椎にはねじれが確認されました。
画像上の変化だけで判断するのではなく、荷重状態や骨盤・腰椎の位置関係を含めて身体全体を評価しました。
施術内容
腰部に対してリダクターやミルキングなどの手技を用い、身体構造の整復を行いました。
また、四つ這い運動や寛骨前方回旋を目的とした体操を指導しました。
歩行指導と経過
施術と並行して、日常生活での歩行を重視し、無理のない範囲で歩行機能の回復に取り組んでもらいました。
約20回の施術を経て、歩行時の痛みが消失し、歩けるようになりました。
この症例から考えること
画像上で腰椎に変化が認められていても、症状や歩行能力は画像所見だけでは説明できない場合があります。
この症例は、身体構造の評価と整復、歩行指導、体操を組み合わせた臨床経験の一例です。
※個別の症例経過であり、同様の結果を保証するものではありません。また、画像上の異常が解消したことを示すものではありません。
⑨ 症例3|変形性膝関節症(61歳女性)
初診時の状態
61歳女性。右膝に痛みがあり、歩行時や階段の昇降時に支障が生じていました。
医療機関では変形性膝関節症と診断され、手術を勧められていました。
身体評価
構造医学に基づく評価では、右寛骨の前方回旋と、右大腿内側部の筋萎縮が認められました。
膝関節の変形という局所の問題だけではなく、骨盤の位置関係や下肢の荷重状態が、膝関節にどのような力学的影響を及ぼすのかを考えました。
施術内容
身体構造の整復に加え、大腿内側部に対して延ローラを用いた処置を行いました。
膝関節の運動機能と潤滑状態の改善を目指した施術です。
歩行指導と体操
日常生活での歩行を重視するとともに、寛骨の前方回旋を目的とした体操を指導しました。
局所への施術だけでなく、患者さん自身が歩行と体操を継続することで、身体の機能を維持することを目指しました。
施術経過
約20回にわたり、身体構造の整復と歩行・体操指導を組み合わせた施術を行いました。
その結果、歩行時や階段昇降時に生じていた右膝の痛みは解消しました。
この症例では、膝関節だけでなく、骨盤や下肢の構造、歩行機能に着目したことが、施術方針を考えるうえで重要でした。
この症例から考えること
変形性膝関節症を膝関節だけの問題として捉えるのではなく、骨盤や下肢の構造、荷重、歩行機能を含めて考えることが、私の臨床における重要な視点です。
※これは個別の施術経験であり、すべての変形性膝関節症に同様の結果が得られることを示すものではありません。
治療家向けセミナー・技術研修について
痛みや機能障害を局所だけの問題として捉えるのではなく、身体全体の構造と直立二足歩行機能から考える。
この臨床的な視点を、より多くの治療家の方々と共有したいと考えています。
今後、構造医学の考え方を基礎とした身体評価、スクリーニング、整復技術、歩行指導について、臨床経験を交えながら学べるセミナーや技術研修を検討しています。
単に手技を覚えるのではなく、なぜその身体に問題が生じ、何を評価し、どのような考え方で施術するのか。
その判断過程を大切にした内容を目指しています。
治療家の方からのお問い合わせ
身体構造の評価や歩行機能を重視した施術に関心をお持ちの治療家の方は、お気軽にお問い合わせください。
今後予定しているセミナーや技術研修についてのご質問も受け付けています。
なお、現在はセミナーの開催時期や詳細について検討中です。